こんにちは,ブレインズテクノロジー / 未来ラボの奥山です.
先週の7/19に,AWSの東京ユーザーグループ(#jawsug_tokyo)で,Amazon re:MARSの参加報告をする機会をいただきました.
re:MARSは,去る6/4-7にLas Vegasで開催されたAmazon.com主催のイベントで,機械学習・ロボットから宇宙まで幅広いトピックに触れられる会議です. 弊社でも,わたしを含む4名が参加し,いろいろな学びを得て帰って来ました.
個人的には,Amazon CEOのJeff Bezos氏やCourseraでお世話になったAndrew Ng先生(それからアイアンマンことRobert Downy Jr.氏も)の講演を生で聞くことが出来て,感動ひとしおでした.
さて今回のユーザーグループでのrecapは,学んだことを整理するとても良い機会になりました. 特に心に残った講演者のキーメッセージを引用させていただきつつ,振り返りを記事にまとめました.
Andrew Ng先生の講演
Andrew先生のお話は,製造や建設などのインダストリーに機械学習技術を応用しようとしているわたし達にとって,学びが多く,とても納得感のあるものでした. ImpulseのPoCや開発をすすめる上で,常に頭において置きたいことばかりですね.
- 人の仕事のすべてを自動化しようと思わず,機械学習が適用できるタスクを見つけて(その単位で)自動化しなさい.
- 産業界にはSmall dataが多いので,Big dataではなくSmall dataを活用する技術が重要になりますよ.
- ソフトウェア技術者だけではなく,ドメインの専門家と一緒に仕事をしなさい.
- (AIを土木工学に例えて)機械学習をシステマティックな工学知識として昇華させることが,本当に定着させるためには大事.
Amazon自社サービスでの機械学習適用事例
Amazon Go
JUST WALK OUT TECHNOLOGYと題して,Amazon Goを支えるテクノロジーが紹介されていました. 物体検出やポーズ認識,セグメンテーションなどの技術をふんだんに取り入れつつ,非常に高い精度が求められる決済サービスとしてまとめあげる技術力の凄みを感じます.
Amazon Brand Protection
マーケットプレイスに出品される商品の画像からロゴを認識し,偽物の出品を防ぐ取り組み. 日々追加される100Kを超えるロゴに対応するため,一般的な物体認識ではなく,距離学習を導入するなど,目的とゴールに応じて最適な機械学習技術が用いられていることが分かります. 具体的な数字は未公開でしたが,その認識精度には非常にこだわっているとのことで,目的に応じて精度目標が設定されていることが示唆されます.
Amazon Locker
ロッカーにはPrime用と一般用のボックスがあり,需給のバランスを取りながら,顧客に届けられる荷物の個数を最大化するために,機械学習を用いている. すべてを機械学習に任せているわけではなく,数理最適化と組み合わせているとのことで,適材適所が大事とのことです. 一般的な損失関数ではなく,ビジネスメトリクス(届けられた荷物の個数を需要で割った指数)を損失関数としたことも重要な工夫として紹介されました.
Amazon Scout
無人配達ロボットScoutの開発に用いられたシミュレーション技術が紹介されました. シミュレータでエミュレートされるセンサ出力をより現実に近づけるためのレンダリング技術も紹介され,シミュレーションと現実をつなぐ肝になるようです. Andrew先生のSmall dataにも通じますが,機械学習に用いるデータの生成手段の1つとして,シミュレータは非常に有望ですね.
Marc Raibert氏の講演
Boston DynamicsのFounderであるMarc氏は,有名なSPOTなどの歩行ロボット(独力でドアノブを回して部屋を移動できる!)を紹介する一方で,ソフトウェア世界と物理世界の両方に対する理解がロボット開発には重要であると説かれてました.
産業用ロボットは,機械学習サービスImpulseの次なる活躍の場かもしれませんね!